御挨拶

 

同窓生の皆さんこんにちは。新同窓会長の髙橋です。先日同窓会長として初めて母校の卒業式に出席をさせていただきました。かねて校内幹事からは卒業式の場で祝辞を述べていただきたい旨の連絡は受けていたのですが、はて一体何を述べてよいやら。未だ若輩者の身としてはあまり説教じみた教訓を述べるのも柄ではありませんし、数日間悩みに悩んだ結果、卒業生に少しでも思い出に残る卒業式にしてもらおうと、あるお願いをすることに決めました。当日緊張しながら卒業生にお願いしたことというのは次の二点でした。

 一点目は最後に必ずクラスメイト全員と握手をしてからお別れをしてほしいということ。二点目は家に帰ったら保護者の方に必ず卒業の報告とお礼を述べてほしいということでした。十八歳の三月から四月というシーズンは、受験と新しい生活のスタートという、ある意味人生の中でも最も慌ただしい時期でもあり、そんな中に突如行われる卒業式というセレモニーは、あまり気持ちの整理がつかないまま本番を迎え、そして感動のもとに式が終わり、そしてその流れでびっくりするくらいあっさり友と別れます。卒業式という本当はとっても大事な仲間との別れの儀式は、ジェットコースターのように目まぐるしい日々の中で揺れ動く期待と不安の感情に流されるまま、正直淡い思い出となり記憶の片隅に追いやられるパターンが多いのではないでしょうか。同窓生の皆様もおそらく私と同じように卒業式を鮮明に覚えておられる方は少ないことでしょう。ですから少しでも卒業生の記憶に残るようにと『全員』、『握手』、『報告』という能動的なキーワードを盛り込みました。実際に彼らがそれを実行してくれたかはわかりませんが、もし一人でも二人でも実践してくれていたとしたら嬉しいです。また、その場でも述べましたが、実はクラスメイトや同級生との再会は必ずしも約束はされていないことも正直に伝えました。毎日顔を合わせていた家族の一員のような仲間とも、今日の卒業式を境に一生の別れになってしまう可能性も決して少なくないんです。だからこそ、最後はしっかりと相手の顔を見て、手を握り、別れの言葉を交わしてください!とお願いしました。もともと私達同窓会はそんな同級生や同窓生という大事な『縁』を繋ぎとめる組織でもありますが、一見簡単そうに見えるその縁を繋ぐということがどんなに難しいことかを一番理解している組織でもあります。若い彼らが、同級生や同窓生との縁を思い出すのは、正直まだ遠い未来の話なのかもしれませんが、ふと人生のどこかで立ち止まって、あの時の同級生の、あの手の温もりと、あの表情、あの声を思い出したときに、また仲間との大事な『縁』を、できる限り簡単に繋ぎなおせることができるような、そんな素敵な組織をこれからも作っていきたいと思います。あらためて卒業生の皆さん、同窓会へのご入会本当におめでとうございます。これからは同じ同窓生として同窓会を一緒に盛り上げてまいりましょう。どうぞよろしくお願いします。

                                   2025年4月     
                                    同窓会長 髙橋 健朗